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リンガ・エスプレッソのヤスロウです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。前回の第3話から、なんと半年もの長い時間が開いてしまいました。辛抱強く新しい回を待っていてくださった方々、お待たせしました!第4話をお届けします。
さて、今回も、前回、前々回と同様、リンガ・エスプレッソ主催でお送りした第2回の公開イベントの録音から、ダイジェストでお送りしたいと思います。この公開イベントは、日本時間で2008年の2月9日(土)の昼12時から行われました。
このときののテーマは「アメリカの迷信」で、過去2回の放送ではアメリカの迷信の中でも結婚に関するものを取り上げました。前回では、結婚式でのライス・シャワーについての話でした。まだの方は、是非お聞きになってみて下さい。
今回も、担当は過去2回の放送と同様、リンガ・エスプレッソ講師のリナとサムです。
前回は、ライス・シャワーで米粒を投げる代わりに鳥の餌を投げることがある、という話で終わりました。今回はそれの続きで、他にどのようなものを投げるか、ということについてのリナの話で始まります。
ちなみに、録音時から音質がよくなく、少しお聞き苦しいところもあるかもしれません。あしからずご容赦ください。それでは聞いてみましょう。
お分かりいただけたでしょうか?米粒を投げる代わりに、蝶を放つことがある、と言っていますね。そしてそういった行為が象徴するのは… "fertility"でしたね。この語に関しては、前回詳しくご説明しているので、忘れた方はそれを聞いてみてください。
さて、これに関してサムが、友人が結婚式で米粒の替わりに投げたものを話題にします。さて、それは何でしょう?聞いてみましょう。
サムが、お友達が結婚式で米粒の替わりに投げた言っていたものは…鴨の餌でしたね。サムは最初に、"duck food"と言って、その後、"food for ducks"と言い替えていました。このサムのお友達は、池の隣で結婚式を挙げたので、参列者が皆鴨に餌をやれるようにした、と言っていました。"Pond"とは「池」の意味ですね。
さて、次にリナがこのことについて自分の意見を述べます。彼女がそれをどういうふうに述べるかも、それにサムがどうリアクションするかも興味深いので、そういったところに注意して聞いてみてください。
いかがでした?リナはしょっぱなに、"I think that's a good idea and a bad idea."と言っています。「いいアイディアでもあるし、悪いアイディアでもある」、と言うことです。これ自身は決まり文句ではありませんが、似たような決まり文句があります。それは、"Yes and no." です。
何かについて是非を問われたときに、"Yes and no." という返事をすることがあります。ある面については"yes"だし、他の面については"no"である、という意味で、このすぐ後にその二つの場合ないし理由を説明するのが普通です。ここの"I think that's a good idea and a bad idea."についても、基本はこれと同じような表現方法だと言えるでしょう。
文全体のイントネーションにも注意してください。前半でぐっと上がり、その後落ちます。それに加えて、"good"と"bad"が対比されているため、この二語が強調されていることにもお気づきでしょうか。"I think that's a good idea and a bad idea."という感じです。
それでは、どういう意味でよいアイディアで、どういう意味で悪いアイディアだとリナは言っているのでしょうか。実は、ここでは彼女は、どういう意味で悪いアイディアかについてしか説明していません。なぜなら、どういう意味でよいアイディアであるかは文脈から明らかだからです。それは、皆さんお分かりだと思いますが、fertilityの象徴であるライス・シャワーと同様に何かを投げつつ、しかしそれによって鳥に害があったりしない、ということですね。
では逆に、どういう意味でそれが悪いアイディアなのでしょうか。少し難しい単語もありましたので、もう一度聞いてみましょう。
リナは、"I think that's a good idea and a bad idea."と前置きした後、"Because domesticated ducks around ponds can get very aggressive about being fed."と言っています。"Domesticated"とは、動物に対して使われる形容詞で、"wild"の反対の意味です。"Wild"が「野生の」という意味であるのに対し、"domesticated"というのは、「飼いならされた」、「家畜の」といった意味になります。
また、"aggressive"というのは人や動物に関して使われる形容詞で、「攻撃的な」、「喧嘩腰の」という意味です。日本語の口語で、人について「とんがってる」ということがありますが、これは英語では、この"aggressive"が相当するでしょう。
最後の "about being fed" の部分は聴き取りづらいと思います。"Fed"は、「(食べものを)与える」、という意味の動詞 "feed" の過去分詞ですね。"Be fed"で受身形ですので、「食べものを与えられる」という意味になります。
ですので、全体としては、「池の周りの人に慣れた鴨は、餌を与えられるときにとても攻撃的になることがある。」という意味になります。
さて、このリナの意見に対して、サムはどういう反応を示しているでしょうか?ここが実に興味深いのです。もう一度聞いてみましょう。
リナの意見に対して、サムは反対意見であることを表明していることがお分かりでしょうか。これを、例えば、"I don't agree with you."、のように表現することはもちろん可能ですが、サムはそういう表現方法を取っていません。"I don't think they had any problems. I didn't hear about it." と言っています。「そういう問題はなかったみたいよ。そういう話はなかったから。」と言っているのです。つまり、直接的に反対だ、と明言はせずに、やんわりと反対意見を述べているわけです。
これに対してリナは、"Thank goodness. We would not want the ducks attacking the guests over bread."、と答えています。これは、「それはよかったわ、パンを取り合って鴨が参列者に危害を加えるようなことがあって欲しくないものね。」という意味です。つまりリナも、サムの反対意見に対して、自分の意見に固執することなく、あっさりと同意してみせているのです。時間にして十秒ほどのごく短い、一見何気ない会話の中に、微妙なやり取りが合ったことがお分かりいただけるでしょうか。
ところで、"Thank goodness."の"goodness"は、"God"の婉曲表現です。"Thank God 〜" という形で、後に節を伴って、「〜でよかった」という意味です。"Thank God it's Friday!"というは、したがって、「金曜日でよかった!」という意味で、よく"TGIF"というふうに略されます。日本語の「花の金曜日」あるいは略して「花金」と同じ意味です。また、T.G.I. Friday's というレストラン・チェーンがアメリカにありますが、これもこの表現から名前を取っています。
日本人の中にはこれを、"Thanks God 〜" だと思っている人がいますが、これは誤りですので気をつけてください。
"God"の婉曲表現は"goodness"以外にも、"Gosh", "Golly"、などがありますが、そもそもなぜこういった婉曲表現が必要なのか、について、ブログの方でまたの機会にお話したいと思います。
それでは最後に、今回お聞かせした録音を通して聞いてみましょう。
これで今回の放送の内容はおしまいです。ですが、今回は、お別れする前に、お知らせがあります。
リンガ・エスプレッソのライティング・コースの第3期の初回が日本時間1月17日(土曜日)の朝10時半より始まります。この初回は参加無料ですので、興味のある方は、ウェブサイトにある参加要領をご覧の上、お申し込みください。運悪く、初回に間に合わなかった場合も、プレゼンテーション資料と録音がご用意できる予定ですので、第2回以降参加することも可能です。
このコースでは、TOEFLや英検1級、あるいは英語圏の大学・大学院の出願書類で必要になる、英文エッセイの書き方を、段落の構成のしかたといった初歩から丁寧にお教えします。全8回のグループ・レッスンで、最終回を除き、毎回課題があります。これを講師が丁寧に添削し、コメントつきで結果をお返しすると同時に、次の回で講師が詳しく講評することに特徴があります。
このコースの講師はこのポッドキャストでもおなじみのリナです。彼女は実は、ライティングの分野で博士号を取得し、その後アメリカの大学で教鞭をとっていたこともある、ライティングの専門家なのです。
お知らせは以上です。
次回のポッドキャスト第5話では、「アメリカ人の日本人観」というテーマでお送りした第3回の公開イベントの録音からまたダイジェストでお送りしたいと思います。それではそのときまで、皆さんごきげんよう。